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飲食店が使える補助金・助成金一覧【2026年最新版 全12種】

飲食店が使える補助金・助成金一覧【2026年最新版 全12種】

はじめに|補助金は「知っている人だけが得をする」制度だ

飲食店の経営者に補助金の話をすると、よく返ってくる反応が2つある。

「うちみたいな小さな店には関係ない」と「申請が難しそうで手が出ない」だ。

どちらも誤解だ。

補助金・助成金の多くは、むしろ中小企業・小規模事業者を対象に設計されている。大企業より小さな店の方が対象になりやすい制度も多い。

申請の難しさについては、確かに書類作成の手間はある。しかし、数十万円から数百万円の資金を返済不要で得られる可能性があるなら、その手間は十分に見合う。

筆者は給食施設向けのSEとして、複数の施設の補助金申請に関わってきた経験がある。その経験から言うと、補助金で損をしている飲食店の多くは「知らなかった」か「面倒だと思って動かなかった」かのどちらかだ。

このページでは、2026年現在、飲食店が活用できる補助金・助成金を12種類まとめて解説する。制度の概要・対象者・補助額・注意点を整理したので、自分の店に使えるものを見つけてほしい。


補助金と助成金の違い

まず基本的な違いを整理する。

補助金 国や自治体が政策目的のために支給する資金。**審査があり、採択されなければ受け取れない。**競争倍率があるため、申請すれば必ず受け取れるわけではない。採択率は制度によって異なるが、30〜70%程度が多い。

助成金 主に厚生労働省が雇用促進等を目的として支給する資金。**要件を満たせば原則として受け取れる。**審査による落選はないが、書類の不備や要件未達で受給できないケースはある。

どちらも返済不要という点は共通だ。融資とは根本的に異なる。


注意事項|補助金活用の大原則

個別の制度を説明する前に、補助金活用における大原則を3つ示す。

大原則①:補助金は後払いが基本

多くの補助金は、先に自己資金で支出してから、後で補助金が入金される「後払い」方式だ。「補助金をもらってから設備を買う」という順序ではない。先に資金を用意できることが前提になる。

大原則②:対象経費と使途を厳守する

補助金には「何に使えるか」が厳密に定められている。対象外の経費に使うことはもちろん、申請時と異なる使途への変更も原則として認められない。

大原則③:公募期間と締め切りを確認する

補助金には公募期間がある。締め切りを過ぎた後から申請することはできない。年に複数回の公募がある制度もあるが、公募が終了している制度もある。常に最新情報を確認することが必要だ。


1|小規模事業者持続化補助金

概要 小規模事業者の販路開拓・業務効率化を支援する補助金。飲食店が最も活用しやすい補助金の一つだ。

対象者 従業員5名以下の飲食店(サービス業の場合)

補助額・補助率 通常枠:補助上限50万円・補助率2/3 特別枠(賃金引上げ枠等):補助上限200万円まで

使える経費の例

  • ホームページ制作・リニューアル
  • チラシ・メニュー表の作成
  • 看板の設置・リニューアル
  • SNS広告・ネット広告費
  • 新メニュー開発に伴う試作費
  • 店舗改装費(一部)

ポイント 採択率は比較的高く、初めて補助金を申請する飲食店にも取り組みやすい。商工会議所・商工会のサポートを受けながら申請書を作成できる点も心強い。

注意点 事業計画書の作成が必要。「何のために何をするか」を具体的に書けるかどうかが採択の鍵になる。


2|IT導入補助金

概要 中小企業・小規模事業者のITツール導入を支援する補助金。業務効率化・DX推進が目的だ。

対象者 中小企業・小規模事業者全般(飲食店も対象)

補助額・補助率 通常枠:補助上限150万円・補助率1/2 インボイス対応類型:補助上限350万円・補助率3/4〜4/5

使える経費の例

  • POSレジシステム
  • 予約管理システム
  • 在庫管理システム
  • 勤怠管理システム
  • 会計ソフト
  • セルフオーダーシステム

ポイント 「IT導入支援事業者」として登録されたベンダー(システム販売会社)経由での申請が必要。システムを購入する際に、そのベンダーがIT導入補助金の登録事業者かどうかを確認することが最初のステップだ。

注意点 ソフトウェアの購入・利用が主な対象。ハードウェア単体(タブレット本体のみなど)は原則対象外。詳細は「飲食店のIT導入補助金 2026年版」で解説している。


3|事業再構築補助金

概要 コロナ禍や経済環境の変化を受けて、新たな事業分野への進出・業態転換を支援する大型補助金。

対象者 売上が減少している中小企業等で、新たな事業への取り組みを計画している事業者

補助額・補助率 中小企業通常枠:補助上限1,500万円・補助率1/2 一部の特別枠ではさらに高額の補助も

使える経費の例

  • 新業態への転換に伴う建物改修費
  • 設備・機器の購入
  • システム構築費
  • 広告宣伝費

飲食店での活用例

  • イートイン中心の店からテイクアウト・デリバリー特化への転換
  • 一般飲食店から給食・仕出し事業への参入
  • 飲食店からフードテック・食品製造への事業転換

注意点 申請に認定経営革新等支援機関(認定支援機関)の確認書が必要。公認会計士・税理士・商工会議所などが認定支援機関に該当する。金額が大きい分、申請書類も複雑で作成に時間がかかる。


4|ものづくり補助金

概要 革新的な製品・サービス開発や生産プロセスの改善を支援する補助金。製造業向けのイメージが強いが、飲食店でも活用できるケースがある。

対象者 革新的なサービス開発・試作品開発・生産プロセス改善に取り組む中小企業

補助額・補助率 通常枠:補助上限750万円・補助率1/2

飲食店での活用例

  • 新しい調理技術・製法の開発
  • 食品製造ラインの自動化設備導入
  • 独自の食品加工技術の開発

注意点 「革新性」が求められるため、通常の設備更新や一般的な業務改善では採択されにくい。飲食店での採択事例は他の補助金より少ない。


5|雇用調整助成金

概要 経済的理由で事業縮小を余儀なくされた事業者が、従業員を休業させた場合に、休業手当の一部を助成する制度。

対象者 売上が前年比で一定割合以上減少し、従業員を休業させた事業者

助成額 休業手当の一部(通常時:2/3〜3/4程度)

飲食店での活用場面 売上の急減期(感染症拡大・自然災害・近隣工事による客足激減等)に従業員を解雇せず雇用を維持した場合に活用できる。

注意点 申請には就業規則・賃金台帳・出勤簿等の書類が必要。社会保険労務士に依頼するケースが多い。


6|キャリアアップ助成金

概要 パート・アルバイト等の非正規雇用労働者を正社員化した場合や、処遇を改善した場合に支給される助成金。

対象者 非正規雇用労働者を雇用している事業者

助成額 正社員化コース:1人当たり最大80万円 賃金規定等改定コース:1人当たり数万円〜

飲食店での活用場面 長期間働いているパートスタッフを正社員に転換する際に活用できる。採用コストをかけずに人材を確保・定着させる手段として有効だ。

注意点 正社員化の前に「就業規則への正社員転換規定の整備」が必要。事前の準備が採択要件になっている点に注意。社会保険労務士のサポートを受けることを推奨する。


7|業務改善助成金

概要 最低賃金を上回る賃金引上げを行った中小企業が、設備投資等の業務改善を行った場合に助成される。

対象者 事業場内最低賃金が地域別最低賃金より30円以内の中小企業

助成額 引上げ額・引上げ人数に応じて最大600万円

使える経費の例

  • 厨房設備の購入
  • POSレジ・注文システムの導入
  • 配送設備の購入

ポイント 賃金引上げと設備投資をセットで計画する場合に有効。最低賃金ギリギリで雇用している飲食店は検討する価値がある。


8|東京都・各都道府県の独自補助金

国の補助金に加えて、各都道府県・市区町村が独自の補助金・助成金制度を設けているケースが多い。

代表的な例(東京都)

  • 東京都の「飲食店開業支援助成金」
  • 東京都中小企業振興公社の各種補助金
  • 区市町村の創業支援補助金

確認方法

  • 都道府県の中小企業支援センターのウェブサイト
  • 商工会議所・商工会
  • J-Net21(中小企業ビジネス支援サイト)

ポイント 国の補助金と併用できるケースもある。地域の商工会議所に相談すると、地域特有の補助金情報を教えてもらえることが多い。


9|省エネ補助金(省エネルギー投資促進支援事業費補助金)

概要 省エネ設備の導入を支援する補助金。エネルギーコストの削減を目的とした設備更新に活用できる。

対象者 省エネ設備の導入を計画している中小企業等

補助額・補助率 設備更新の場合:補助率1/3〜1/2程度

飲食店での活用例

  • 高効率冷蔵・冷凍庫への更新
  • 省エネ型厨房機器(IHコンロ・スチームコンベクションオーブン等)への更新
  • LED照明への切り替え
  • 空調設備の更新

ポイント エネルギーコストは飲食店の固定費の中でも大きな割合を占める。省エネ設備への更新で光熱費を削減しながら、補助金でその費用を一部回収できる。


10|食品衛生関連の設備整備補助(自治体独自)

一部の自治体では、HACCPへの対応や食品衛生水準の向上を目的とした設備整備に対して補助を行っている。

補助対象になりうる経費の例

  • 温度管理設備の整備
  • 洗浄・殺菌設備の導入
  • 冷蔵・冷凍設備の更新

確認方法 所轄の保健所または自治体の産業振興担当窓口に問い合わせる。国の制度として一元化されていないため、地域によって有無・内容が大きく異なる。


11|雇用関係の助成金(特定求職者雇用開発助成金)

概要 高齢者・障がい者・長期失業者など、就職が困難な人材を雇用した場合に支給される助成金。

対象者 ハローワーク等の紹介により、対象となる人材を雇用した事業者

助成額 対象者の区分・雇用形態により異なるが、1人当たり数十万円〜

飲食店での活用場面 シニア層・障がい者等を積極的に採用している飲食店では、採用コストの実質的な削減につながる。


12|創業・開業時の補助金・融資制度

新規開業・創業時に活用できる制度も整理しておく。

日本政策金融公庫の創業融資 厳密には補助金ではなく融資だが、民間金融機関より低金利・無担保で借りられる可能性が高い。新規開業の飲食店が最初に相談すべき窓口だ。

地域創業助成金(自治体独自) 地域によっては、新規創業者に対して開業費用の一部を助成する制度がある。金額は数十万円程度が多いが、開業時のキャッシュフロー改善に役立つ。

商工会議所の創業支援 一部の商工会議所では、創業計画書の作成支援と合わせて、補助金申請のサポートを無料で行っている。


補助金申請を成功させる5つのポイント

補助金申請の採択率を上げるために押さえておくべきポイントを整理する。

ポイント①:公募要領を最初から最後まで読む

当たり前に聞こえるが、公募要領を読まずに申請して要件を外すケースが多い。特に「対象外経費」「申請要件」「採点基準」の3点は必ず確認する。

ポイント②:数字で語る事業計画を書く

「売上が上がると思います」ではなく「この設備導入により月の売上が〇〇万円から〇〇万円に増加する見込みで、その根拠は〇〇です」という具体的な数字と根拠が採択率を上げる。

ポイント③:認定支援機関・商工会議所を活用する

申請書の作成は一人でやろうとせず、専門家の力を借りる。商工会議所のサポートは多くの場合無料だ。

ポイント④:締め切り2週間前には書類を揃える

補助金申請の書類は想定より時間がかかる。「締め切り直前に書き始める」は最悪のパターンだ。公募開始から2週間以内に動き始め、締め切り2週間前には書類を揃える計画で動く。

ポイント⑤:不採択でも諦めない

補助金には年に複数回の公募があるものもある。一度不採択になっても、申請書を改善して再申請することで採択されるケースは多い。不採択の場合は審査結果の通知をよく読み、何が不足していたかを分析する。


補助金情報の収集方法

補助金は制度が変わりやすく、公募期間も限られている。常に最新情報を収集する習慣が重要だ。

定期的に確認すべき情報源

  • ミラサポplus(中小企業庁): 国の補助金情報が一元化されている
  • J-Net21: 補助金・助成金の検索ツールが使いやすい
  • 商工会議所・商工会: 地域の補助金情報と申請サポートが得られる
  • 都道府県の産業振興センター: 地域独自の補助金情報

まとめ|補助金は「経営ツール」として使う

12種類の補助金・助成金を紹介してきたが、重要なのはこれらを「棚ぼた的な資金」としてではなく「経営ツール」として活用する意識だ。

設備更新・人材育成・DX推進・業態転換など、経営上の投資を計画する際に「使える補助金はないか」という視点を持つ習慣をつけることが、補助金を最大限に活用する鍵だ。

自分の店に使える補助金がわからない場合は、まず地域の商工会議所・商工会に相談することを強く推奨する。無料で相談でき、申請書作成のサポートも受けられる。

補助金は「知っている人だけが得をする」制度だ。このページをきっかけに、積極的に活用してほしい。


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執筆者プロフィール

この記事を書いた人

飲食店のDX・補助金支援を専門に全国の飲食店の経営改善をサポート

調理師免許保有。調理師・給食会社勤務にて10年以上、調理・現場衛生管理・スタッフマネジメントを担当。給食会社の社内SEとして3年間、HACCP記録のデジタル化・POSシステム・勤怠管理のIT化を推進。保健所の立入検査への対応、スタッフへのHACCP教育を現場で積み重ねてきた経験をもとに、飲食店・給食施設向けの実務直結の情報を発信しています。
※本記事の情報は2026年3月時点のものです。法令・制度の改正により内容が変わる場合があります。最新情報は厚生労働省のウェブサイトでご確認ください。