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HACCP記録表の書き方と記入例【無料テンプレート付き】

HACCP記録表の書き方と記入例【無料テンプレート付き】

本記事は、調理師免許保有・給食会社10年以上の現場管理経験をもとに執筆しています。保健所の立入検査に立ち会った経験、現場スタッフへのHACCP教育の試行錯誤、記録の形骸化と向き合ってきた実体験を、包み隠さずお伝えします。


「HACCP記録表、どう書けばいいんだろう」

この記事を開いたあなたは、たぶんそこそこ真剣に悩んでいると思います。ネットで調べると「厚生労働省の様式を使いましょう」「毎日記録しましょう」という当たり前のことしか書いていない。でも実際の現場で何が起きているか、どこで躓くか、保健所が本当に何を見ているかは、現場を知らない人には書けません。

この記事を読むとわかること:

  • HACCP記録表に書くべき必須項目と、書かなくていいこと
  • 保健所が立入検査で実際に確認する3つのポイント
  • 「形だけのHACCP」になる理由と、現場に定着させる唯一の方法
  • すぐ使える記入例(具体的な数値・フォーマットつき)

10分読めば、今日から使える記録表の知識が全部揃います。


保健所は「最低限」を見ている。その最低限とはなにか

まず、多くの飲食店オーナーが誤解していることから話します。

保健所は鬼ではありません。

立入検査に来た保健所の担当者は、あなたの店を潰したいわけでも、細かい欠点を探し回りたいわけでもない。所詮はお役所仕事、最低限の基準が守られていれば、基本的には何も言いません。

ただし、最低限の基準を守らせることには徹底的です。

これがHACCPの本質を理解する出発点になります。つまり「完璧な管理」を目指す必要はない。「最低限の基準を、証明できる形で守り続ける」ことが求められているのです。

では、その「最低限の基準」とは何か。3つあります。

保健所が確認する3つのポイント

① 記録の連続性

昨日、一昨日、先週の記録が、自然な流れで残っているか。同じペン、同じ筆跡で、明らかに「まとめて書いた」形跡がないか。

これが最も重要です。記録が飛び飛びだったり、1ページすべて同じ力加減で書かれていたりすると、即座に指摘が入ります。

② 計画書と現場の一致

「まな板を色分けして使い分ける」と計画書に書いてあるのに、実際の厨房では全部同じまな板を使っている。こういう「書いてあることとやっていることの乖離」は、計画書を読めば5分でわかります。

③ 担当者の理解度

これが意外と盲点です。保健所の担当者は、店主だけでなく、その場にいるスタッフに直接質問することがあります。「なぜ冷蔵庫の温度を測っているんですか?」と聞かれたとき、アルバイトスタッフが答えられるかどうか。

この3点が揃っていれば、保健所は「この店はちゃんとやっている」と判断します。逆に言えば、この3点さえ揃えれば、細かいフォーマットの違いや多少の記入ミスは、指導にはなっても「問題あり」とはなりません。


なぜ現場の記録は形骸化するのか。10年間見てきた実態

ここが、他のどのHACCP解説サイトにも書いていない話です。

現場でHACCP管理を見てきた10年間、繰り返し目にしてきた光景があります。

月末になると、記録表が一気に埋まる。

朝礼で「今月の記録、まだ出てないよ」と言われた現場スタッフが、30分かけて先月分の日付を遡って温度を書き込んでいく。その温度は実測値ではなく、「たぶんこのくらいだろう」という推測値です。あるいは毎日同じ数字が並んでいる記録表。冷蔵庫が常にちょうど8.0℃であり続けるわけがないのに、30日間ずっと「8.0」と書いてある。

これは悪意ではありません。

現場のスタッフは「書いてあれば良い」と本気で思っています。義務だから記録する。怒られないために記録する。でも「なぜ記録するのか」を理解していない。だから記録は形骸化する。

私がこの問題と向き合ってきた中で、たどり着いた結論があります。

熟練の職人ほど、正しく理解すると誰より真剣に取り組む。

「なぜ必要なのか」をきちんと話すと、ベテランのスタッフほど、深く理解してくれます。食品衛生の怖さを経験として知っているからです。食材が傷んだとき、食中毒が疑われるクレームが来たとき。その経験が「記録の意味」と結びついた瞬間、態度が変わります。

反対に若手スタッフへの定着は難しい。失敗の経験がないから、リスクがリアルに感じられない。この場合は「なぜ」の説明だけでは不十分で、小さな失敗を安全な場面で経験させることが必要になります。温度管理をサボったらどうなるか、食材がどう傷むか、実際に見せることが一番の教育になります。

この話をなぜするかというと、記録表の「書き方」だけを教えても意味がないからです。記録が正しく機能するかどうかは、書くスタッフが「なぜ書くのか」を理解しているかどうかにかかっています。


HACCP記録表の基本構造 何をどこに書くか

前置きが長くなりました。ここから実務の話に入ります。

HACCP記録表は、大きく2種類あります。

1. 一般衛生管理の記録表

「料理を作る前」の環境管理の記録です。

項目 記録内容 頻度
冷蔵庫温度 庫内温度(℃) 始業時・終業時(1日2回)
冷凍庫温度 庫内温度(℃) 始業時・終業時(1日2回)
食材検収 納品温度・状態・業者名 納品のたびに
従業員健康確認 発熱・下痢・嘔吐の有無 始業前(毎日)
手洗い実施 実施の有無 調理開始前・トイレ後
清掃・消毒 実施箇所・使用薬剤 終業後(毎日)・週次・月次

これが土台です。この表がきちんと毎日埋まっていれば、保健所の基本的な確認はクリアできます。

2. HACCPに沿った衛生管理の記録表

「料理を作る工程」での管理記録です。メニューを3つのグループに分けて管理します。

第1群:非加熱のもの(刺身・サラダ・冷奴など)
– 管理のポイント:温度(10℃以下を保つ)と時間(できるだけ短く)
– 記録項目:保管温度・調理開始時刻・提供時刻

第2群:加熱して提供するもの(焼き物・揚げ物・炒め物など)
– 管理のポイント:中心温度(75℃・1分以上)
– 記録項目:加熱終了時の中心温度・確認者名

第3群:加熱→冷却→再加熱するもの(カレー・煮物・スープなど)
– 管理のポイント:冷却速度(40〜60℃の時間を短くする)
– 記録項目:冷却開始温度・冷却開始時刻・20℃以下到達時刻

第3群が最も危険です。ウェルシュ菌は加熱しても死なない芽胞を作り、40〜60℃の「温い時間帯」に爆発的に増殖します。大鍋のカレーをそのまま常温放置するのが、最も食中毒リスクの高い行為です。


記入例 実際の数値で見る正しい記録の書き方

百聞は一見に如かず。実際の記録例を見てもらいます。

冷蔵庫・冷凍庫温度記録の記入例

日付 時刻 冷蔵庫1(℃) 冷蔵庫2(℃) 冷凍庫(℃) 確認者 異常・対処
3/15 8:30 7.5 9.2 -18.3 山田 なし
3/15 22:00 8.1 8.8 -17.9 鈴木 なし
3/16 8:30 8.3 9.0 -18.5 山田 なし
3/17 8:30 11.2 9.1 -18.2 山田 冷蔵庫1が基準超過。扉の開け忘れを確認、修正後9.0℃に回復

この記録を見てください。3月17日に冷蔵庫1が11.2℃と基準の10℃を超えています。そして「対処」欄に理由と対処内容が書いてある。

これが正しい記録の姿です。

基準を超えたことを隠すのではなく、何が起きたかを書く。そしてどう対処したかを書く。この記録があることで、保健所はむしろ「この店はきちんと管理している」と評価します。

毎日きれいに「8.0」「8.0」「8.0」と同じ数字が並んでいる記録より、多少の変動があって、異常時に対処が書いてある記録の方が、はるかに信頼性が高い。

健康確認の記入例

日付 氏名 発熱 下痢 嘔吐 手の傷 確認者サイン
3/15 山田太郎 なし なし なし なし 山田
3/15 鈴木花子 なし なし なし 右人差し指に絆創膏 鈴木

手の傷は記録する必要があります。絆創膏をしていれば調理可能ですが、調理中に絆創膏が外れていないか確認する手順も計画書に入れましょう。色付きの絆創膏(青や緑)を使うと、万が一外れても食材の中で発見しやすくなります。

加熱調理の中心温度記録

日付 時刻 メニュー 中心温度(℃) 加熱時間 確認者 再加熱の有無
3/15 11:45 ハンバーグ 76.2 8分 山田 なし
3/15 12:20 鶏もも焼き 75.8 12分 山田 なし
3/15 18:30 ロールキャベツ 74.1 15分 鈴木 あり(75℃到達確認)

ロールキャベツで一度基準に達しなかった記録があります。「再加熱あり」と書いてある。これも隠す必要はありません。むしろ「ちゃんと確認して、足りない時は対処している」という証拠です。


冷却管理の落とし穴 ウェルシュ菌という見えない敵

ここは少し深く掘り下げます。食中毒の原因菌の中で、飲食店が最も見落としがちなのがウェルシュ菌です。

ウェルシュ菌の特徴は、加熱しても死なないことです。正確に言うと、菌本体は加熱で死にますが、「芽胞」と呼ばれる殻を作って生き延びます。カレーや煮物を100℃で30分煮込んでも、芽胞は残ります。

そして温度が下がり始めると、芽胞から菌が復活して爆発的に増殖します。最も増えやすいのが40℃〜60℃の温度帯。大鍋のカレーを常温で放置すると、まさにこの温度帯に何時間も置かれることになります。

現場でよく見るNG行動:
– 夜の残り物を大鍋ごと翌朝まで常温放置
– 「表面は冷えているから大丈夫」と判断する(大鍋は中心が冷えるのが遅い)
– 冷蔵庫に入れたが、まだ熱いうちに蓋をした(蒸気が水になって雑菌が増える)

正しい冷却手順:

  1. 大鍋のまま冷やさない。浅いバットや保存容器に小分けする(厚みを減らすことで冷却が早くなる)
  2. 氷水を張ったシンクやボウルに鍋ごと浸けて、かき混ぜながら冷やす
  3. 30分以内に20℃以下、さらに60分以内に10℃以下に到達させる
  4. 10℃以下になってから冷蔵庫に入れる

この手順の「30分以内に20℃以下」という数字を記録表に残します。温度と時刻をセットで記録することで、冷却が基準通りに行われたことを証明できます。

ウェルシュ菌による食中毒は、発症まで6〜18時間かかります。食べた翌日に症状が出るため、「昨日のカレーが原因」と特定されることが多い。給食施設での集団食中毒事例の中でも、ウェルシュ菌は上位に入り続けています。


食材検収の記録 見落とされがちな「最初の砦」

HACCP記録の中で、温度記録の次に重要なのが食材検収の記録です。しかし、多くの現場で最も雑になっているのも、この検収記録です。

食材は受け取った瞬間が「最初の砦」です。ここで問題のある食材を受け入れてしまうと、その後どれだけ丁寧に管理しても、リスクをゼロにはできません。

検収記録に書くべき項目

項目 記録内容 確認方法
納品業者名 正式名称またはコード 納品書で確認
納品時刻 〇時〇分 受け取り時に記録
品目 食材名 納品書と照合
温度(℃) 表面温度を測定 表面温度計で測定
状態 外装の破れ・臭い・色の異常 目視・嗅覚で確認
消費期限 期限内であること ラベル確認
対応 受入 or 返品

冷蔵食材の受入温度の目安は10℃以下、冷凍食材は-15℃以下です。この温度を超えている場合は、納品業者に確認して記録に残します。

実際の現場では、業者が「最近届くのが遅くて、正直温度が上がっているかも」という状況があります。そういうときこそ記録が重要で、継続的に温度が高い業者には改善を求める根拠になります。検収記録は、食材の品質管理だけでなく、業者との関係を維持するためのコミュニケーションツールでもあります。


スタッフの健康確認 「言いにくい」を言える現場にする

健康確認の記録は、形式的には最も簡単です。毎朝「発熱・下痢・嘔吐の有無」を確認して記録するだけ。でも実際は、これが最も機能していない記録の一つです。

理由は単純で、体調の悪いスタッフが「大丈夫です」と言ってしまうからです。

アルバイトのシフトが入っている日に、少し体調が悪くても「でも休むと迷惑をかける」「収入が減る」と考えて出勤してしまう。そのスタッフが食材を触って、食中毒が広がる。

これを防ぐには、記録の仕組みだけでは足りません。「体調が悪いときは休んでいい」という文化を作ることが先決です。

ノロウイルスの症状(下痢・嘔吐)があるスタッフが調理に従事した場合、食品衛生法上の問題になるだけでなく、大規模な集団感染につながるリスクがあります。症状が収まってから48時間は食品を直接扱う作業を避けることが推奨されています。

健康確認の記録表に「発熱・下痢・嘔吐がある場合は必ず申告すること。申告しても減給・不利益処分は行わない」という一文を入れておくと、スタッフが言いやすくなります。


HACCPと食品衛生法の関係 法的な立場を正しく理解する

最後に、法的な側面を整理しておきます。

2021年6月から、原則全ての食品等事業者にHACCPに沿った衛生管理が義務付けられました(食品衛生法改正)。ただし、小規模な飲食店(小規模事業者)は「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」でよく、大規模事業者に求められる厳格なHACCPシステムの導入は不要です。

小規模事業者の目安:
– 食品の製造・加工・調理・販売を行う事業者で、食品等取扱者の数が50人未満

ほとんどの個人飲食店はこの小規模事業者に該当します。つまり、厳密な7原則12手順のHACCPシステムを構築しなくても、厚生労働省が提供している「業種別手引書」をもとにした管理を実施すれば法的要件を満たします。

飲食店向けの手引書は厚生労働省のウェブサイトで無料公開されています。まず手引書を一度読んで、自分の店がどのレベルの管理を求められているかを確認することをお勧めします。

罰則については、HACCP義務化に違反した場合の直接的な罰則は現時点では定められていませんが、食中毒が発生した場合の対応や、保健所の改善命令への不服従には罰則が適用されます。食品衛生法第58条に基づく営業禁止・停止命令が代表的です。


よくある記録ミスとその対処法

現場で実際に見てきた「やりがちなミス」を整理します。

ミス①:温度計を一箇所しか測らない

冷蔵庫の扉を開けてすぐ前面だけ測っている店があります。前面は扉を開けるたびに外気が入るため温度が不安定です。庫内の奥(最も温度が安定している場所)で測ることが基本です。

複数段ある場合は、最も温度が高くなりやすい上段も測ることをお勧めします。冷気は下に溜まるため、上段が最も温度管理が難しい。

ミス②:「問題なし」しか書かない

毎日「問題なし」「異常なし」しか書かれていない記録表があります。これは逆に不自然です。どんなに管理が行き届いていても、季節の変わり目や繁忙期には温度変動が起きるものです。「全く異常がない」ということは「測っていない」か「書いていない」と疑われます。

ミス③:測定者の記入がない

誰が測ったかわからない記録は、責任の所在が曖昧になります。必ず確認者の名前またはイニシャルを記入します。

ミス④:記録表の保管場所がバラバラ

今月の記録表はどこにある?先月の分は?保健所の担当者に聞かれたとき、すぐに出せる状態になっているかどうか。バインダーで月ごとに整理して、厨房の決まった場所に置く。これだけで管理の印象が大きく変わります。

食品衛生法では記録の保存期間は定められていませんが、一般的には1年間保存することが推奨されています。食中毒発生時の調査に使われることがあるためです。

ミス⑤:計画書と記録表が連動していない

計画書には「冷蔵庫は8℃以下に管理する」と書いてあるのに、記録表の基準欄には「10℃以下」と書いてある。こういう整合性のなさは一発で指摘されます。計画書を見直したら記録表も一緒に更新する習慣をつけましょう。


現場にHACCPを定着させる唯一の方法

記録表の書き方を教えるだけでは、HACCPは現場に定着しません。

繰り返しになりますが、現場の意識は正直に言って低いところが多い。書いてあれば良いとしか思っていない。このことを前提に、どうやって現場を変えるかを考えないといけない。

10年間試行錯誤してたどり着いた方法は、シンプルです。

「なぜやるのか」を、現場の言葉で説明する。

「法律で決まってるから」では動かない。「保健所に怒られるから」でも長続きしない。

でも「あのとき、〇〇の食中毒で子供が死んだことがあった。あれは温度管理の失敗だった」という話をすると、ベテランは真剣に聞きます。食品の怖さを知っているからです。

若手には、小さな失敗を見せることが効果的です。常温放置した食材に何が起きるか。傷んだ食材がどんな状態になるか。リスクが目で見えると、管理の意味が腹落ちします。

そして「わかった」と思ってもらえたら、あとは続けやすい仕組みを作るだけです。

記録表は厨房の目の届く場所に置く。温度計は冷蔵庫の横に置く。ペンは記録表と一緒に置く。「やりたいと思ったら、すぐできる」状態にしておく。人間は面倒だと感じると後回しにします。


HACCP記録の保存とデジタル化

手書きの記録表の管理が大変になってきたら、デジタル化も選択肢に入ります。

スマートフォンのアプリで温度を入力するタイプのものから、IoTセンサーで冷蔵庫の温度を自動記録するものまで、幅広い選択肢があります。

費用感は月額数千円〜数万円程度。IT導入補助金(最大350万円)の対象になる製品もあるため、導入コストを大幅に抑えられる可能性があります。

ただし、デジタル化すれば問題が解決するわけではありません。データが自動で取れても、異常時の「対処」を記録するのは人間です。記録の文化をまず作ってから、効率化としてデジタルを導入するのが正しい順序です。


保健所の立入検査 実際に何が起きるか

立入検査は大きく2種類あります。事前通知がある「定期検査」と、事前通知なしの「抜き打ち検査」です。

定期検査は年に1〜2回程度、事前に日程が通知されます。これに向けて記録を整えるのは当然ですが、その前月に集中してまとめ書きをするのは逆効果です。前日に記録を整えた形跡は、担当者に見抜かれます。

抜き打ち検査は、食中毒発生情報やクレームがあった場合に実施されることが多い。突然来た保健所に「ちょっと記録が……」という状況にならないためにも、日常から記録を積み上げておくことが唯一の対策です。

実際の検査の流れは概ねこうです。担当者が厨房に入り、まず設備の状態を確認します(冷蔵庫の温度、まな板の区分け、手洗い設備の状態)。次に記録表を確認します。最後に、その場にいるスタッフへの聞き取りが行われることもあります。

所要時間は30分〜1時間程度。問題がなければ「今後も継続してください」で終わります。改善が必要な点があれば、口頭または書面で指導が出ます。

保健所の担当者は基本的に協力的です。「これはどうすればいいですか」と相談すれば、丁寧に教えてくれます。怖い存在ではなく、食品衛生の専門家として相談できる相手だと思ってください。


記録表の年次見直し メニューが変わったら記録表も変える

HACCP計画書と記録表は、一度作ったら終わりではありません。年に1回以上、内容を見直す必要があります。

特に、メニューの変更があったときは必ず見直します。

新しいメニューを追加したとき、そのメニューがどのグループ(加熱・非加熱・冷却再加熱)に属するかを確認して、必要であれば管理手順と記録項目を追加します。季節メニューで冬だけカキフライを出す場合、カキは二枚貝として「85〜90℃・90秒以上」の加熱が必要という基準があります。通常の「75℃・1分以上」とは異なるため、計画書に明記しておく必要があります。

見直しのタイミングの目安は以下の通りです。

  • 年1回:計画全体の見直し
  • メニュー変更時:該当メニューの管理手順を確認・追加
  • 食中毒事例が話題になったとき:同種の食材・調理方法を再確認
  • 設備が変わったとき(冷蔵庫の更新など):温度基準・測定箇所を再設定

改めて整理します。

  • 保健所が見ているのは「記録の連続性」「計画書と現場の一致」「担当者の理解度」の3点。完璧な管理より、最低限の基準を証明できることが重要
  • 記録表は「冷蔵庫温度・冷凍庫温度・食材検収・健康確認・清掃消毒」が基本の5項目。加熱調理は「中心温度75℃・1分以上」の記録を残す
  • 異常があったときこそ正直に書く。異常→対処の記録がある店は、保健所の評価が高い
  • 記録が定着するかどうかは、スタッフが「なぜやるのか」を理解しているかどうかにかかっている
  • ベテランは正しく説明すれば誰より真剣に取り組む。若手には失敗の経験を安全な形で積ませることが近道

毎日5分の積み重ねが、食中毒ゼロの店を作ります。今日から始めてください。


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執筆者プロフィール

調理師免許保有。給食会社にて10年以上、調理・現場衛生管理・スタッフマネジメントを担当。同社の社内SEとして3年間、HACCP記録のデジタル化・POSシステム・勤怠管理のIT化を推進。保健所の立入検査への対応、スタッフへのHACCP教育を現場で積み重ねてきた経験をもとに、飲食店・給食施設向けの実務直結の情報を発信しています。

※本記事の情報は2026年3月時点のものです。法令・制度の改正により内容が変わる場合があります。最新情報は厚生労働省のウェブサイトでご確認ください。

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執筆者プロフィール

この記事を書いた人

飲食店のDX・補助金支援を専門に全国の飲食店の経営改善をサポート

調理師免許保有。調理師・給食会社勤務にて10年以上、調理・現場衛生管理・スタッフマネジメントを担当。給食会社の社内SEとして3年間、HACCP記録のデジタル化・POSシステム・勤怠管理のIT化を推進。保健所の立入検査への対応、スタッフへのHACCP教育を現場で積み重ねてきた経験をもとに、飲食店・給食施設向けの実務直結の情報を発信しています。
※本記事の情報は2026年3月時点のものです。法令・制度の改正により内容が変わる場合があります。最新情報は厚生労働省のウェブサイトでご確認ください。